NPOは自分そのものという凄み 「nexus career」vol.4レポート 〜肺がん患者の会ワンステップの長谷川一男さんをお迎えして〜

【イベントレポート】

5月15日開催の「nexus career」第4回は、肺がん患者の会ワンステップの理事長、長谷川一男さんをお迎えしました。

nexus careerとは、その人らしい社会価値を付加した生き方・働き方をnexus career(ネクサスキャリア)と定義し、セクターを横断し複数の肩書きを自在に行き来する人たちのキャリアにフォーカスするイベント兼ポットキャスト番組です。

簡単に今回の内容をご紹介します。

突然の余命宣告にとまどった自身の体験からNPOを設立

NPO法人肺がん患者の会ワンステップは、進行性肺がんという厳しい状況下でも〈居場所・情報・制度変革〉を提供し、患者が“生きる勇気”を得られるコミュニティを築いているNPOです。

代表の長谷川さんは2010年、TV番組制作の仕事をしていた39歳のとき、非喫煙者なのにステージ4の進行性肺がんと診断され、余命10ヶ月と告知されました。突然、命にかかわる判断を迫られ、情報と現実のギャップの大きさに戸惑ったといいます。

治療しながらブログでの情報発信をはじめ、体調が落ちついた2015年、「生きる勇気を生み出す場」をつくるため、患者会 を設立しました。肺がんは進行がはやく患者会がない状況だったため、患者会の誕生を医療者が喜んでくれ、それ以降連携しながら活動をしています。

まだちょうどその頃、関内イノベーションイニシアティブ株式会社が開催するソーシャルビジネルスタートアップ講座を受講し、治田と出会いました。

医療者と連携し国際学会への登壇やアドボカシー活動を行う

現在、10年目をむかえるワンステップは①居場所づくり ②情報提供 ③アドボカシー(制度提言)の三本柱で活動しています。

毎月の 「おしゃべり会」では先輩患者がいて話を傾聴し、相互支援の場をつくっています。また設立2年で国際学会にも登壇。日本のみならず国外でも横のつながりをつくってきました。

アドボカシーにも力をいれています。以前、高額な新薬が病院赤字の原因となって “使いたくても使えない” 制度の隙間を指摘し、患者会と医療者が共同で国に改善要望をしたことで、制度の改正を実現できました。その体験から当事者が声をあげることで仕組みは変えられると実感しているそうです。

「自分そのもの」だというNPOの今後の活動

今後はShared Decision-Making(共同意思決定)を力をいれるそうです。

Shared Decision-Makingは、例えば薬を選ぶ際「延命は長いが副作用が重い」可能性と 「寿命は短いが副作用が軽い」可能性を天秤にかけなければならない状況を想像してみてください。こういった場合、医療者は説明が難しくなり、患者側も判断が難しくなります。医療者・患者ともに迷う意思決定の領域の課題を、調査や啓発活動で深めていく方針だといいます。

最後に、自分にとってワンステップとは?という問いかけに対して「自分そのもの」だとお答えになった長谷川さん。

活動をとおして「最後まで満足して生き抜く答えを探している」という言葉から、長谷川さんの生きる覚悟が伝わってきてきて胸に響きました。


お話のあとは質疑応答を行い、参加者からはどのように傾聴をしているのか、患者本人はどのような声かけを望んでいるのか、といった質問が出されていました。

最後に皆さんで集合写真をとってみました!真面目にお話をお聞きしながらも楽しい雰囲気で開催しています。
次回は7月17日にCareer Creationの森清華さんをお招きして行いますので、ぜひお気軽にお越しください。

なお、当日の様子はSPOTIYで配信予定です。

【参考】
NPO法人肺がん患者の会ワンステップ https://www.lung-onestep.com 

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