「KANAGAWA HERI-PORT2026」〜歴史を生かした6名の実践者が登壇〜

2月13日(金)19時からmassmass関内フューチャーセンターにて「KANAGAWA HERI-PORT2026」(神奈川ヘリポート2026)が開催されました。

今年で2年目の開催となる本イベント。“神奈川の「歴史を生かしたまちづくり」の「今」、そして少し「未来」を知ろう“をテーマに、横浜・神奈川を中心に歴史的建造物に関するニュースを紹介するウェブメディア、ヘリテイジタイムズ横浜・神奈川と共催で行っています。

今年は各地でまちづくりに取り組む6名の方にご登壇いただきました。
ちなみにイベント名のHERI – PORT(ヘリポート)は造語です。HERITAGE(ヘリテイジ:遺産)+Report(リポート)をかけあわせ、新しく飛び立つイメージをこめました。それぞれのプレゼンがはじまる前には、「Take Off」!司会のヘリテイジタイムズ横浜・神奈川の小田嶋鉄朗さんと船本由佳さんの発声で、そう掛け声をかけて、テンポよく明るい雰囲気で進めていきました。

この日のプレゼンの内容を簡単にご紹介します。

以下はヘリテイジタイムズ横浜・神奈川によるレポートをもとに構成しています。あわせてご覧ください。
https://www.heritagetimes-yk.com/post/2026021401

若林拓哉さん(建築家/株式会社ウミネコアーキ代表取締役)

タイトル:「地域を再編集する場のデザイン」

若林さんが手がけたARUNŌ –Yokohama Shinohara-は、1975年築の郵便局をマスターリースし、柱や梁を活かしてリノベーションした物件です。「未知の窓口」をコンセプトに、シェアキッチンやカフェ、シェアハウスが混在する拠点で、地域住民を「消費者ではなく関わり手」として迎える方針で運営しています。

新横浜食料品センターは若林さんのお祖父様が建てた1967年築の長屋。「真二つに切断」して既存店舗(うなぎ屋等)を営業させたまま、新築棟と改修棟を組み合わせ、1階カフェ/クラフトビール/パン屋/アメリカンダイナー等の入居が進んでいます。それ以外にも「ハマのメンマ」をつくっている横浜竹林研究所の代表理事も務めています。

若林さんは「何屋かよくわからない余白」が地域にあることで、住民との新しい関係性が生まれると考えています。

島田翔陽さん(横濱今昔写真代表)

タイトル:「横濱今昔写真のすゝめ

島田さんは明治〜昭和初期の彩色絵葉書を収集し、看板や住所録・地図から撮影場所を特定。現在の風景と比較する「横濱今昔写真」をInstagram等で発信しています。Instagramの文字数制限と闘いながら長文解説を継続し、1万人以上のフォロワーを獲得しています。

コロナ禍で身近な日本大通りを歩いたときに、歴史のつみかさねた街の姿に「エモさ」を感じたことが原点だそうです。

ZINE「横浜遊覧写真帖」の制作や、若手まちづくり団体らによる「横浜街歩き博覧会」の開催するほか、今後は綱島温泉の歴史本制作も計画しています。

「歴史のルーツを知ることで、街で暮らすことが何倍も誇らしくなる。」とメッセージを残されました。

池田誠之さん(神奈川県企業庁財産管理課技幹)

タイトル:「邸園文化圏再生構想の経緯をお話しします

池田さんは神奈川県庁内ベンチャーとしてはじまった邸園文化圏再生構想に関わりました。点的取組・面的取組・組織的取組の三本柱をたてて取り組んできたそうです。

そのなかで湘南邸園文化祭は 2005年から始まった構想で、海水浴や邸宅・庭園といった湘南特有の文化を「邸園文化」と定義し、各地のNPOらと連携し、2006年から20回続く文化祭へ発展しました。

さらにヘリテージマネージャーの養成にも取り組みました。ヘリテージマネージャーとは、歴史的建造物の専門家的応援団で、建物所有者に価値と魅力を伝え、登録有形文化財への登録を支援していくものです。これらは県から団体へ引き継がれ今も続いています。

原大祐さん(株式会社Co.Lab 代表取締役・NPO法人西湘をあそぶ会 代表理事)

タイトル:「大磯暮らしのつくりかた」


原さんは団地再生に力をいれ、竹山団地の学生寮化や、相武台団地での銀行の支店跡地を銭湯付きデイケアにするプロジェクトを支援されました。

またご自身がお住まいの大磯では、旧大磯郵便局の倉庫をコワーキングスペース化するほか、解体された三井邸の部材を引き取り、森のようちえんの内装(縄文水の天井材やステンドグラス)として未来へ繋いでいます

そのほか、荒廃農地約8,000㎡を会員150名で農園化し、大磯農園として運営したり、2010年開始した大磯朝市を最大1万人規模の人気の朝市に育てたり、さまざまな活動を大磯で展開しています。

「『自分の暮らしはもちろん、コミュニティーが楽しくなるか(QOCL:Quality of Community Life)』を基準に仕事を選択しているといいます。原さんは遊休不動産を活かしてコミュニティーを楽しくするために、動き続けています。

木村郁子(合同会社ふくわらい代表・社会価値共創ファームSOWTプロジェクトマネージャー)

タイトル:「NPOがつくったカルチャー ~尾道の事例から~」

当財団の事務局の木村も登壇しました。横浜市鶴見区の商店街で、チャレンジスペースの運営や店の古い歴史の聞き書きなどをしています。

今回は1ヶ月滞在した広島県尾道市での体験をベースに、「NPO法人尾道空き家再生プロジェクト」が斜面地にある空き家群を、ゲストハウスやカフェとして再生していった事例を紹介しました。

参考にすべき点として、再生物件をゲストハウス・カフェにして事業化し雇用を創出していること、移住者同士でお互いに助け合うコミュニティを形成していること、文化財だけに偏らず「普通の空き家」にフォーカスして敷居をさげたこと、アーティストと連携してオリジナルな物件をつくったことの4つをあげました。

尾道のNPOが実現させたように、「コストをかけても古い建物を活かすのがカッコいい」という文化を神奈川でもつくっていきましょう、と呼びかけました。

松島孝夫さん (株式会社エンジョイワークス取締役)

タイトル:「“天空の廃墟”をなりわい住宅×共感投資で再生​ 旧横須賀市営田浦月見台住宅プロジェクト」

松島さんが取締役を務める株式会社エンジョイワークスは、ファンドによる「ヴィンテージ&クリエイティブ」な団地再生を手がけています。

金融庁の免許を得たファンドの仕組みで、個人や企業から資金を集めて事業を自分事化。「株主人口」として提起し、歴史性・ストーリーあるストック活用を進めています。

田浦月見台住宅(横須賀市)は 誰も住まなくなった市営団地を「なりわい住宅」として再生。入居者が庭や土間を自分たちで作り込むことで、家賃価値も向上しました。

公開イベントを繰りかえした先に入居希望者を集める「需要先行」で金融機関からの信用をえてきました。横須賀市との連携とメディアへの露出で認知拡大をはかってきたそうです。

その結果、入居率も高く、夜の営業店が増え、山上に賑わいがうまれました。ファンを最初につくることで事業も軌道にのせることができた事例です。


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参加者の感想

プレゼン終了後は交流会。皆さんのお話は尽きず、時間ぎりぎりまで多くの人が過ごされていました。

終了後、参加者の方からは以下のような感想をいただきました。

「なんとなく知っていた活動や事例、実体験や手法を直接聞くことができてよかった」

「内容がよかった。リノベが特に興味深く、地域や古い物への愛が感じられた」 

「参考になりました、来年も開催してほしい 」


ご来場の皆様ありがとうございました。
また来年も開催いたしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

会場協力:神奈川県住宅供給公社協力
後援:横浜市都市整備局
協賛:株式会社三陽物産
(横浜モンテローザの菓子「ロリケット」を提供いただきました。)
参考:https://peatix.com/event/4258705/view

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