7月26日(土)SOWTの2周年を記念してマスマス関内フューチャーセンターで、「Future Session」を初開催しました。総勢30名が集まり次につながる密度の濃い場となりました。
当日の様子をレポートします。

SOWT2周年によせて代表理事からご挨拶
まず代表理事の治田より当財団のミッションと2年間の実績を説明しました。また「Future Session」という言葉にこめた意味や今後実施する中長期計画の策定について話がありました。

今回、司会を務めてくださったのは入澤香織さん。プロボノとして事業に関わってくださっています。入澤さんをはじめとする、多くのボランティアスタッフに支えられて実施することができました。

4組の登壇者からのプレゼンテーション
「海外先行事例から学ぶソーシャルセクターの人材育成」というテーマでお呼びした、4組の登壇者。内容を簡単にご紹介します。
中島智人さん(産業能率大学経営学部教授/SOWT評議員)
“ソーシャルセクターで「働く」ということ:セクターの理解と必要な人材”
中島さんは留学先のイギリスを例にとり、イギリスでは国が福祉の役割を果たす一方で、ボランタリー活動(自発的な活動)も重視されていることや、市場経済の重要性について触れられました。
その上で、ソーシャルセクターについて「政治・経済・社会」にわけて「社会」を限定するものではなく、「社会」とは「政治、経済を含めた複合的な要因に基づく」ことであるとし、セクター間の越境の重要性を指摘しました。
また、企業が利益の追求を重視するのに対し、NPO等の非営利組織は社会的ミッションの達成を目的としています。
そのため、NPO等非営利組織は課題が解決され組織がなくなることが究極の目的で、「ビジョンやミッションを強く認識した人たちが一緒になって共同作業を行う」ことが重要だと述べられました。

三坂慶子さん(NPO法人Sharing Caring Culture 代表理事)
“目的で動かす、心を動かす ─ パーパスフル・リーダーシップについての学び”
三坂さんは、アメリカで過ごした幼少期・帰国後の教員経験といったご自身の体験から、NPO法人Sharing Caring Culture を設立されたことを紹介されました。
そして、2021年と2023年にアメリカン・エキスプレスの「リーダーシップ・アカデミー」に参加し、特に「パーパスフルリーダーシップ」について学んだことを共有されました。
パーパスフルリーダーシップの要点として、①存在意義を常に意識すること、②日常の中で意味のある物語を共有すること、③自分と他者のパーパスを接続すること、④価値観を軸に意思決定することの4点を挙げました。

佐藤克哉さん(アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 広報担当 バイスプレジデント)
“アメリカン・エキスプレス、ソーシャルセクターとの取り組み”
佐藤さんからは、アメリカン・エキスプレスのコーポレート・サスティナビリティの取組のご紹介のあと、「リーダーシップ・アカデミー」についてご説明がありました。
三坂さんが参加された「リーダーシップ・アカデミー」は、社会活動に取組むリーダーたちがスキルを構築しネットワークを構築する機会として、これまでに世界で約16万5千人が参加しています。
国内においては、社会起業家に向けたコミュニティ型のアクセラレータープログラムとして2024年に30歳以下の若年層リーダーを対象に、そして今年は女性起業家を対象とした「American Express INNOVATOR’s LAB」を実施しました。このプログラムには、アメリカン・エキスプレスの社員の方もボランティアとして参加したそうです。
企業がソーシャルセクターに関わる意義として、社会へのボジティブなインパクトを創出すること、社内に対するインパクトを挙げられました。後者は、普段の業務では得られない価値観に触れて会社へのエンゲージメントを高めるという副次的効果があると説明されました。

イ・テヒョン さん(UD IMPACT (underdogs.)グローバル事業本部 本部長)
“実行する起業家「Act-preneurs」が、より良い世界を創る”
韓国のUD IMPACT (underdogs.) のイ・テヒョンさんと、通訳として同・上前万由子さんがオンライン登壇してくださいました。
UD IMPACT (underdogs.)は週50時間以上の無償教育を提供するところから始まりました。そこには、教育は誰もが無償で受けられるべきということと、教育は知識の伝達ではなくアクションの実行を促すものだという2つの哲学が込められています。10年間で、2万3千人以上の起業家を育成してきました。
パートナー企業・公共機関・自治体等と連携して人材育成を行い、韓国政府の「社会的企業認証制度」に認められた社会的企業を年間約50社、2024年にいたっては94社も育成することができたそうです。
次にソーシャルセクターでは収益だけでなく社会的価値も追求するので、営利企業と比較してより複雑で複合的な人材の能力やスキルが求められると、ご自身の経験から述べられました。
これからは専門職向けの起業支援や、ローカル地域特化型の教育を行っていくとともに、日本でも人材育成事業を行なっていくと意気込みを述べられました。

セッションへ
ここで4組のプレゼンが終わり、次はセッションへ。ここからは産業能率大学教授の中島智人さんに司会を務めていただきました。
最初に会場からの質問が共有されました。

例えば、『「リーダーシップ・アカデミー」で具体的にどのようなストーリーテリングの方法を学びましたか?』という三坂さんへの質問に対して、TED(様々な分野の専門家や著名人が登壇し、アイデアや知識を共有する場)のコーチから直接指導をうけ、受講生同士で携帯で録画をして客観的に自分のスピーチを見ることで、声や表情などの非言語コミュニケーションを意識するように教わった、と答えていただきました。

越境人材について
次に「越境人材」「ソーシャルセクターに必要な人材像」について話題になりました。ここは主な発言を抜粋します。
・企業と一緒にやる場合には、企業にとってどの領域でどのようなメリットや関係性があるのか、窓口となった担当者の背負っている役割を考えながら話してみるとお互いに想像力をもって対話できる。(佐藤さん)
・NPOと関内イノベーションイニシアティブの事業を兼務している。そのことで大きな視野で物事を捉えることができるようになり、「越境」のメリットを感じている。(三坂さん)
・非営利セクターで働いている人は営業は苦手だったり、逆に、民間企業出身の方は営業が得意だったりと個性がある。それぞれの強みと弱みを組み合わせながらチームでやっていきたい。(イ・テヒョンさん)

ソーシャルセクターにおけるリーダーシップについて
最後にリーダーシップについての話題になりました。
・リーダーシップは相互互換性という気づきが大きかった。特定の「リーダー」と呼ばれる人だけが常にリーダーシップを発揮するわけではなく、チームメンバー一人ひとりが、自分の得意なことや、その時々に必要な役割に応じて、リーダーシップを発揮し合うということを組織のなかで伝えていきたい。(三坂さん)
・リーダーには課題設定能力・ビジョンを伝える能力・心理的安全性を確保する能力が求められる。これはソーシャルセクターに限らず、第1・2セクターでも共通することである。(佐藤さん)
・事業が持続的な成長をしていることが、スタッフのモチベーションになると考えている。またソーシャルセクターにおいてはより民主的な協調的なタイプのリーダーが求められていると感じており、日々実践している。(イ・テヒョンさん)

締めくくりは交流会
会場とのやりとりを経て、最後は写真撮影・交流会で締めくくりました。



関内名物、「泉平」のいなりずしとかっぱ巻きをいただきながら交流会の時間を和やかに過ごしました。
参加者の感想
参加者からは以下のような感想をいただきました。
⭐️日本のソーシャルセクターにおける課題意識や韓国での取り組み事例などを聞けて事業者の立場として協業していくために必要な視点を考える契機となりました。
⭐️ソーシャルセクターを考える上での前提知識をわかりやすくお話いただいたことで、その後の講演やセッションでの理解や自身の考えを深めることができました。構成や内容が良かったです。
⭐️できれば出席者と講演者との話の時間がもう少しあるとよかったです。
⭐️ソーシャルな課題を企業と連携する場合の対応の仕方を企業側から聞けたことが良かったです。
今回のFuture Sessionで議論した内容や得られた気づきをSOWTの運営につなげていきます。
皆様、ありがとうございました。3周年にもご期待ください!